FA Coat Rally Mongolia2019 参戦記ETAP-3
■ETAP-3 13 AUG. 2019 KHAR NUUR⇒KHAR NUUR
SS-1:113.91km L:1.26km SS-2:87.20km TOTAL:202.37km
「デューンからはじまる川」
ハルヌールをスタートゴールにするループのルート。ハルヌールを左手に見ながら砂を走ればデューンクロッシングがはじまる。ピークを避け、慎重にルートを選ぶ。
無鉄砲に進めば手痛いしっぺ返しにあう。CPのあとはブッシュの中を進み、砂の中の泉の脇からまたブッシュへ。山を越え、小さな町でSS FINISH。給油の後、SS-2へ。
SS-2はハイスピードで進んだ後、山岳エリアに入る。ここはスピードが上がらない道の悪いエリア。このエリアをゆっくりと越えれば、再び美しいハルヌールが見えてくる。
ゴールはすぐだ。今日のディナーは、湖畔でパーティーだ。
ハルヌールのビバーク、昨夜は強い風が吹きつけていた雲、塵のないモンゴルの空は今日も高い
この日ブリーフィングでは山田競技委員長よりここまでに起きた様々な出来事についてラリーに向き合う選手たちに対し「このラリーを美しいスポーツにしたい」ということを語られていた、心構えだったりそこに向き合う姿勢、表現になると思うのだがこれはラリーモンゴリアにおいて選手、関わるスタッフたちが8日間を通して作り上げるもの、作り上げるというよりはその日々自体が美しいスポーツそのものだということを自分は感じた
中国チームのアドベンチャー軍団、重量バイクでよくここまでの行程を走れるものです、コース上で一緒になることはありませんでしたがバイクの取り回し、ライディングなど体格は自分と変わらないのにまるで軽量バイクに乗っているかのように乗りこなすエキスパートライダー達だ
この日はスタート、ゴールが同じ場所の為、積載しているスペアパーツや翌日のコマ図等をビバークに置きやや身軽な装備でスタートをする、3日目まだまだスタート前の緊張感は軽減されない
Photo SSER
スタートして数キロ程は頭大の根石転がる丘を越え、ハルヌールの湖を反時計回りに、やがて砂の多い地形に入っていく、前走者の轍も多く緊張しながら走るがその先は砂丘に入ることなくヒザ、コシほど丈のある草木を超え緑の多い小さな山を超えていく
山を越えるとその先には大きな砂丘郡、コマ図と向かう方位(CAP)からその砂丘へ入っていくことが分かる、ドキドキが止まらない
スタートして30分程だったが気持ちを落ち着かせるためまた「この景色は写真に残さねば」とカメラを出し周囲の写真を撮る、後方から一名のライダーに追いつかれ声をかけられるが「写真を撮っている」というジェスチャーをし先に行ってもらう
Photo SSER
やがて深い砂と轍と2階建ての家ほどの高さの砂丘をいくつも超えていく、砂丘の頂上から直角に落ちるような場所もあり頂上までは勢いをつけて頂上付近でほぼ停止するくらいの速度になるように慎重にライディングに集中する
Photo SSER
何度か繰り返しコマ図と答え合わせをしながら走っているとやがて前方にCP(チェックポイント)の車とテントが見えたがそこに向かうまっすぐな砂丘にはバイクの細い轍が一本だけでそれ以外の轍ほとんどが左へ回り込んでいった距離にして400メートルだがここは右に倣え(ではなくこの場合は左の轍に倣え)で轍の群れをトレースしていくとやがてその轍は先ほど確認したCPよりも大きく離れていくためそこからは轍のない砂丘をCPめがけて一直線に進みCP到着、そこには過去2012/2017年に選手として一緒に参加した小栗さんがCPスタッフとして待機していた「原くんいいよ~日本人トップだよ~」と声をかけられる、砂丘前後のルートでは多くのライダーに抜かれたがほとんどのライダーはその轍をいったのだろう
CPが砂丘のほぼ終点でその先は緑と砂の混じるハイスピードピストが続く、気分良くライディングに集中していると右前方の砂丘の中に大きな穴が!
なんすか
この穴は
怖すぎるでしょ~
ルートはこの先左のブッシュに入っていくことになっていたがSS中にも関わらずこの穴の近くまでバイクを走らせて確認する
きっとこの穴に落ちたら江戸時代くらいにタイムスリップしちゃうんだろうな~とか想像しながら(笑)
実際のコマ図ですこの日のルートインフォメーションのテーマは「デューンからはじまる川」
Photo SSER
やがて乾いた硬い土の山をいくつも超えるハイスピードなピストが続き小さな町が見えてSSゴール、SS2のスタート地点はそのゴールからわずか300メートル程のところにあったその町で給油をしたら一時間のタイムコントロール
いつものように町に入り売店を見つけてコーラタイム、ひとしごと終えたコーラは今日もうまい!GIANTの自転車にのった少年にメチャクチャ話しかけられたがやはり理解できずにいたのでバイクに触らせてあげて写真を撮ってあげる
photo SSER
SS2の前半は硬い土のハイスピード、後にややガレた石が続く山をいくつも超えていく登山道のようなピスト、路面は悪くそれに加えてキャンバー、スピードが乗ってくると石やクレバスにハンドルをとられ、速度を下げると一つ一つギャップを拾うような我慢の走行が続く、「なんなんだ!この道は、くそ~」とかヘルメットの中でひとりぶつぶつと文句を言いながら
やがて見覚えのある丘に差し掛かりそれを超えた瞬間に目に飛び込んできた青い湖
Photo SSER
「ふぉ~~~~~~」
「さいっこ~~~~」
思わず声を上げる
先ほど一人で文句を言っていた事が一瞬で消えてしまうような景色、見慣れたビバークもすぐ目の前、ゆるい下り坂で右に畠山カメラマンが構えているのが見えた、昨日はX-1トラックとのツーショットだったので(苦笑)本日は張り切ってサービスショット
Photo hiroyasu hatakeyama
格好よく加工までしてもらいました(嬉)
Etap3も無事にゴール時刻は14時過ぎオートバイのメンテナンスに時間を充てる、エンジンオイル交換、各部増し締め、エアフィルター交換、コマ図のまき直しなどなど
中国チームのアドベンチャーも皆無事にビバークへ戻ってきている
夕食までは時間があったのでビバーク周辺を散策
♯5の泉本選手は念願のハルヌールで釣り糸を垂れるもノーフィッシュ!(笑)
Etap1のバヤンゴビのビバークと同様に近くの山を登ってみる
煙と何とかはというが…
しかしいつまでも見ていたい景色だった、このハルヌールのビバークはラリーモンゴリア2019の象徴ともいえる場所
2017年はゾ―モットで「次にこの場所を訪れるのはいつなんだろうか?もしかしたらここにこうして訪れることはもうないのかもしれない」と思ったがここのハルヌールでも同じ感情が沸き上がった、そしていま日本でせわしない日々を送っているいまこの時もあの大地では同じ時間が流れているんだとおもうとなんだが胸がキュッと締め付けられるような思いがする
やがてビバーク周辺では今日の夕食の準備が進んでいた
Photo SSER
今夜は外にテーブルを並べて皆でパーティだ、テーブルにはアウトドア用のワイングラスが用意され牛肉のスープ、ボーズにワイン、この日も今日走ったルートや皆それぞれにおきた出来事を肴に楽しい夕食の時間を過ごした
やがてハルヌールの湖のかなたに夕日が沈んでいく
再び、あの丘の上に行き寝転がり空を見上げると太陽が隠れ空がグレーとも白ともいえない色になったとき、1杯の赤ワインと1缶のタイガービールのせいなのかはわからないが空に吸い込まれそうな感覚に襲われる、怖いというよりは気持ち良くこのまま空の一部になってしまいたいとおもった、なぜそんな感覚になったかはわからないが真っ暗になってゲルに戻ったときに同室の仲間に一生懸命そのことを語ったことははっきりと覚えている
明日はラリーモンゴリアで初めて訪れる地、アルタイ、どんな景色がどんな出来事が待っているんだろうか身体が気持ちがラリーに順応し楽しめる気持ちが芽生えてきたと感じる
MOTO 5位