Iternational GS Trophy 2008・チュニジア編その3

昨年、外出自粛制限期間中に掲載したBMW Motorrad International GS Trophy Tunisia 2008ですが制限解除と共にそのまま放置しておりました。緊急事態宣言の延長またInternational GS Trophy 2022 Southeast Europe国内予選の開催を前にGSトロフィーとはどんなものなのかを少しでも知っていただきたいと第一回大会に参加したレポート続編となります※すでに13年前の記憶なので曖昧な部分もありますご了承ください

 

 

サハラ砂漠でのテント生活3日目、前日のゴール後にオフィシャルカメラマンによるシューティングタイムがあった撮影に協力できるライダーは辺り一面の砂丘を自由に走ってもらいその姿をカメラにおさめるというものだ、チームUSAが真っ先に砂丘の中に入っていくがスタック、豪快にリヤホイールから砂を巻き上げてリカバーしていく、ここまでの道のりで砂丘の難しさを身に染みて感じていた自分や他国チームのメンバ―は半数以上がヘルメットを脱ぎ各チームがスタックしリカバーする姿を眺めたり手伝っていたりした、そこにジャーナリストの松井勉さんが「先ほど走ってきた道を引き返しグループで走り撮影しましょう」と、ええっ(汗)

松井さんからアドバイスを頂いたおかげでサハラの砂に少しずつですが適応することができた自分にとって大先生、その先生に意見できるわけもなく「はい、よろこんで~」(苦笑)キャンプ場から腹~胸の小砂丘をはしりUターン、カメラマンめがけて松井さんを先頭に三上さん、加地さん自分の順で走ります、先ほど自分たちが付けた轍にハンドルをとられながらアクセルを開け続け何とか追いかけた写真が上のもの

この写真は今回のINT GS の記事やヨーロッパ雑誌(MOTORRAD NEWS)にも掲載された、ついていってよかったっす先生(笑)

翌朝

80ランクルのディーゼルエンジン音で目が覚める、テントを開けると地平線から太陽が昇り始める

見える景色はすべて砂、裸足で外に出てみる砂は固く冷たい

ランクルがキャンプ場から離れていく時折スタッフが下車して砂丘にフラッグを刺していた

しばらくするとベッペによるブリーフィング、キャンプ場よりフラッグをフォローし砂丘を超えた先に停まってあるランクルがゴール、チーム毎にスタートし最後の一人がゴールしたタイムで競うというスピード競技だ

ラリースーツに着替える、チームジャパンは2走目だ、スタートの場所からはランクルが見えない一体何キロくらいあるのだろう

第一走のチームドイツが縦に6台砂丘に入っていった先頭を走るF800GSは硬くしまった轍のない砂丘をスムースに駆け抜けていく最後尾を走るライダー(第二回以降のGS Trophyオフィシャルを務めるトム・ウルフ)は轍をよけながら走るがフラッグ間コース幅は狭くハンドルをとられまくっているこりゃ厄介だな…

チームミーティングで純さん、平野さん、加地さん、自分、松井さん、三上さんの順でスタートしていくことになった。皆が見守る中スタートフラッグが降ろされる、途中で止まると再スタートが厄介なためそれぞれ一定の間隔をあけながら走り出す。昨日の砂丘とは明らかに違い砂が重いトラクションがかかりやすく「いけてるぜ俺!」と調子に乗るが二つ目の砂丘で前走者に追いついてしまいアクセルを戻したとたんハンドルをとられ転倒、すぐにリカバリーしたが後から来ていた松井さんの走路を妨害してしまう。オフィシャルのPV(3:40辺りの映像)松井さんが三上さんに派手に砂をかぶせているあの場面です三上さんがカメラマンに「チョコレートケーキみたいだ、食べる?」と言っていたネタを作った張本人です(13年目のごめんなさい)

皆ゴールして記念に「はいチーズ」

その後も砂しか見えない地平線をひたすら進みます、チームでの移動ですがほぼ休憩はなしそれでも平均時速は15キロ程度

砂と格闘しながら進むこと数時間アスファルトではないが硬い路面の道にでると突然バラック小屋のような建物が砂漠の真ん中にポツンと立っていた

そこは砂漠の中にあるカフェでさまざまな旅人やライダーが立ち寄っていく憩いの場のようで壁には沢山の写真やポスターが貼ってある

チームGSトロフィーも各国のサインを入れて貼ってもらうことになった、このポスターはカフェはまだここにあるのだろうか?また訪れたい場所のひとつ

しばらく硬い路面の道を進む、これまでの道と異なりハイペースで進んでいくが他国のライダーがフロントタイヤをパンクさせてしまう、パンク修理道具や予備のチューブは最後尾のカミオンに積んであるため全員がカミオンの到着を待つ、自分が当事者だったらと気の小さい自分ではとてもこの状況に耐えられないのでやはりベッペが言うとおりにタイヤエア圧は規定値通り落とさずにこのままでいこうと心に決める

やがてカミオンが到着、同乗しているメカニックがタイヤ交換をする慣れていないのか手こずっているとチームUSAのジミールイスが代わりにと交換方法のコツなどをレクチャーしながらサクッと交換してしまった。かっけーっすジミールイス

その後は再びフカフカの小砂丘の連なる い・つ・も・の・サハラ砂漠に入っていく、先頭を走るバイクの砂煙を見失わないように前走者の轍の少ない砂丘で硬そうな場所を選びながら時速15キロ程で進み続けます

砂丘の真ん中でブルーのラリースーツを着たオフィシャルスタッフがとまっているここで待機ということらしい、やがてチームGSトロフィーが全員到着するランクルからベッペが降りてきてブリーフィングを始めたこの先にフラッグとランクルがあるからその外側を各国のバイク一台で一人ずつ回るリレー方式の競争をするというものだった初日にやって皆大スタックをしたあれを競技にするのか…

第一走者加地さんが奥の砂丘でスタックし大きく遅れ第二走者にバイクが渡されるこの時点で順位は最下位、しかし他の国の選手もスタック続出で順位は入れ替わるチームジャパンはアンカーも加地さんにお願いする予定だったが、自分の番を走り終えたチームUSAのジミールイスがチームジャパンの様子を見て「俺が最後走ろうか?」と提案してくれた三上さん、松井さんの力走で順位を上げそのままアンカーのジミーに交換しゴール「俺のおかげで最下位じゃなかったぜ」と捨て台詞を残して去っていった、実はスタート前のブリーフィングでジミールイスが「チームジャパンだけ1人少ないここで2回早いやつが走ったら日本だけ有利じゃないか!」と抗議していた。結局日本は加地さんが2回走ることが許可されたけどそれを言った本人が「一番早いやつ」として2回目を走ったわけだ

競技をしたその場所がこの日のビバーク地のようだ今日は一日かけて100キロも進んでいないんじゃないだろうか、ビバークする砂丘の横には高さ20メートル以上の大砂丘群が見える、まさか翌朝あんな過酷なことをさせられるなんてその時は誰も知る由もなかった…

この日のビバークも帯同しているイタリア人シェフによる料理やワインが振舞われた焚火の横では参加者たちが今日一日の出来事をそれぞれに語り合っている、なんて幸せな時間なんだろう

つづく

 

 

 

 

 

 

 

予告

次回はスターウォーズの撮影現場になったタトゥイーンに訪れます、そこで最後のチャレンジが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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