ラリーモンゴリア2017Etap7バヤンゴビ→ハラホリン
ラリーモンゴリアも残り2日となった、朝5時に目を覚まし軽くストレッチ、インフォメーションボードがあるレストランまで昨日のリザルトとスケジュールをチェックしにいく、今日はバヤンゴビのツーリストキャンプからハラホリンまでの550キロ
8時、リザルト順にスタートをしていくSS、前日にMOTO部門2位となった尾島選手がビバーク横を派手にルースとを上げて駆け抜けていった
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低い雲が立ち込めるバヤンゴビを後にし、しばらくは昨日の逆ルートやはり轍だらけの海岸沿い(風)の道を全開で駆け抜ける
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緑が美しい草原地帯
バイクも身体も調子が良いのかフロントのタイヤ位置接地感、サスペンションの動きリヤタイヤのスライド感覚をセンチ単位で感じることができる、ライディングにおいては日々研ぎ澄まされていくようだ
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SS1も残り15キロ大粒の雨が降り始める、数百メートル級の丘をいくつも超えるゴールまで残り5キロ付近のコマ図と距離が合わない、ここまで分岐などは見当たらなかった、残り少ないのでそのまま進むゴールまで200メートルまできたが前方にゴールフラッグは見えない大粒の雨は日本でいうゲリラ豪雨並の強さだピストには小さな川ができている、しかたなく来た道を引き返すが数分前の自分の轍すら消されてしまうほど強い雨、やがて先ほど停まった5キロ地点まで戻る、ここでもう一度停止しコマ図とカップを確認する方角はあっているのだがコマ図の絵が合わない、さらに進もうとすると前方からHINOカミオン登場、もう考える間もなく金魚の糞作戦決行!すでに一往復半しているルートやはりゴールまで200メートルの距離に来てもフラッグはスタッフカーは見えないがカミオンはそのまま進んでいく、丘を登り切ったその場所にありましたゴールCP
そのCPは進行方向から丘を下り始める場所にあったため直前まで見えなかった、ようはミスコースはしておらずそのまま先に進めばよかっただけ、ラリーも7日目まだまだ自分をナビゲーションを信頼できないのだ(悲)
あまりにも雨が強い、スタッフに注意事項を受ける、この先96キロリエゾンをターゲットタイム2時間で走らなければならない、時速50キロ程で走るのだが台風並みの雨、ヘルメットとゴーグルの隙間から入ってくる雨粒がまるで小石のよう、痛いそして寒い、カッパを着ているが体が小刻みに震えている前屈みで走ること1時間寒さ我慢の限界に近付いていることを感じる、左前方に建築中なのか解体中なのかドア窓のない小屋を見つけそこに飛び込んだ
真っ先にヘルメットを脱ぎ、疲れと寒さで食欲はないが体温を上げるためにとにかく胃袋に食糧を詰め込む、気持ちが落ち着いてきた、するとドアのない間口からモンゴル衣装をきた大きな男が入って手を右から左に振って何か大きな声で言っている「やばい」一瞬そう思い日本語で「ごめんなさい、寒くて少し休ませてもらっている」というがもちろん通じない(汗)何か言いながら近づいてくるので急いでネックブレースとリュックをもって出発しようとするとさらに3人の男が入ってきた「完全にピーンチ」一瞬の間にさまざまな逃げるシミュレーションをする
すると先ほどとは異なるやや聞き取れる言葉で何か話しかけてきた、「英語だ」一番若いモンゴル人が話す、彼がいうには小屋の隣にあるお店は自分のレストランだからそこで休んでいけと言っているらしい(自分のつたないヒアリングですが…)「ありがとう、今はレース中でゆっくりできないのでここで少し休ませてもらっている」と伝えると「いいから休んでいけ、日本人か?俺の店に先日朝青龍が来たんだぞ朝青龍しってるか、レースってなんだお前だけか?どこに行くんだ」と矢継ぎ早に質問してくるがとにかくお礼を言ってその場を離れた
それからも台風並みの雨の中を穴の見えない舗装路を50キロで飛ばす、やがてSS2スタートにたどり着くが見事に一分遅着(泣)そのままSSをスタートするが
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ルート上のピストは至る所で水が氾濫しているピストを走ると跳ね上げる水でステップから足がはずれ、ピストわきのグラストラックを走ろうとするがとても滑る
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このSSは157キロと距離は短いが集中力と体力の消耗が激しい、残り50キロでミスコース、リエゾンからのライディングで集中力が切れているのだろう、休憩したいが雨脚は強く雨宿りできるよな場所はない、あるのは雨を降らせる雲とどこまでも続く緑と灰色の地平線だ絶望的な気持ちになる、遠くに水しぶきを上げて走る四輪の姿を見つけコマ図を見る気にもならずにその水しぶきを追いかける、その後は大雨が降った後の河川敷のような砂利道が続く、水たまりをよけながらペースの上がらない走行を続けるとSSゴールが見えた
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その後も雨と気温の上がらない40キロのリエゾンを走りこの日のビバークハラホリンに到着した
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疲労困憊、まさにその状態でマシンから降りたが、寒さと疲労で腰痛は悪化しばらくマシンにもたれかかる、寒いのか痛いのか交互に時おり一斉に襲ってくるゴールをした安堵を感じることができないほどに疲労しているのだろうじっとしてやり過ごすほかなかった
手厳しいぜラリーモンゴリア
「暖かいシャワーがあるよ、原さんの荷物ゲルに運んであるから」先にビバークに到着していた他ライダーのメカニックが話しかけてくれた、助かる親切が身に染みる疲れた体でゲルからタオルと着替えを取り出しシャワー棟へ、出ました!くそ暑いお湯(嬉)5分程すると指先、足先に自分の身体の感覚が戻ってきます、すっと力が抜けるのと同時に気力が沸き上がることを感じた、「お湯ってすげー」いちいち感動です
これまでこのラリーモンゴリアに出場して変わったと感じたことの一つに感動レベルが極端に下がったことだ、冷えたファンタを飲んで眩暈がするほど感動して、お湯が出るシャワーに感動して、だけどそれは感動レベルが下がったのではなくて人として生物としての感度が上がったということなのかもしれない、と暑いシャワーを浴びながら思った2012年に参戦した時もたしか同じこと感じたと思うのだが…
身体が冷めないようにしっかりと着込んでFE501最後の整備をする、周りではメカニックたちが仲間たちがやはりマシン整備に専念していた、こうしたラリー生活も残り一日、ゴールが近づき嬉しさと寂しさの混じるDay7のビバークだった