FAcoat RALLY MONGOLIA2023 ETAP-7

ETAP-7 11 AUG. 2023 RASHAANT⇒ULAANBAATAR

L:45.13km S:249.45km L:22.12km P:4.13km TOTAL:320.83km

「凱旋のウランバートル」

西からウランバートルにむかう道は、いまでは舗装されてしまっているが実は古道がある。古街道というのが正しいか。今回はそのルートを辿ってウランバートルに凱旋しようと思う。すでに人跡途絶えピストが見えない箇所もあってCAP の指示も出る。山を越えると不思議な世界に出くわしたりする。山々の稜線を走り大きなオボーにゴールすれば長年の夢が達成できたことを知る。ルートブックの最後にはBRAVOOOOO!と書いてある。しかしそれは夢から現実に戻ったというか時間旅行が終わり現代に舞い降りた感覚に似ている。 ETAP数は、1日減ったがSSの総距離は3000キロを超えたタフでハードな砂漠のコンペティションはここに昇華する。

ルートインフォメーションより

最終日の朝

昨夜はゆっくりと眠ることができた身体にエネルギーが満ちていることを感じる

ゲルのドアを開け目の前に広がる草原と岩山を眺めて歯磨き

ふと、来週の今ごろは自宅の洗面所の前で歯を磨いているんだな

なんて考える

X-1トラックにダッフルバッグを運び

最後のブリーフィング

SSはひとつ250キロ先のゴール

リエゾン後にリグループされ4キロのパレードランが行われる

最終日はリバーススタート

前日までの順位で下位のグループから1~数分の感覚でスタートしていく

仲間を見送った後

スタートまでの時間

誰もいないゲルのベットに寝転んだ

天井の空いた丸い窓から青い空が見える

いよいよラリーモンゴリアもこの日で終わる

いつもラリー最終日に感じる喪失感や達成感はない

自分が今モンゴルにいる

ラリーモンゴリアに参戦し最終日を迎えているということ

ラリーに対してバイクをライディングすることに対して「楽しむ」という気持ちを持たなくなっていた

一昨日から感情を抑える努力をしてきた

 

ベットから起き上がり

部屋に挨拶をしてマシンに向かう

いつかまたこの場所に戻ってくることはあるのだろうか

 

最後のビバークをスタート

45キロのリエゾンを終えSSスタート地点すでに半数の参加者は最終SSをスタートしていた

スタートラインに並ぶ最後のSS

緊張感はなかった

やがてスタッフによりスタートのカウントダウン

緑の草原にベージュのピスト青い空にどこまでも続く地平線

圧倒的な景色の中を無心でバイクを走らせる

しばらく走ると、それまでのルート上で出会うことのなかった参加者たちに遭遇

ゆっくりと自分のペースで走行している人

ルートではないピストの丘に登っていく人

反対方向からこちらに向かってくる人(逆走だよとジェスチャーで伝える)

前走車についていく人

手を挙げて

無事にゴールにたどり着こうと合図を送る

 

ウランバートルに近づくにつれ緑の色が濃くなっていく

同じくしてピストやその脇に沢山のクレバスが現れる

これまでも見たことのないような大きな穴も多くこれまで以上に慎重に進む

やがて丘の上のゴールCPにたどり着く

すぐそばでライダーたちが撮影会を行っていた

そこからリエゾンでリグループの会場まで移動

パレードまで2時間以上あるということで会場前の現地の食堂で遅い昼食

焼きそばとヤギ汁に冷たいコーラ

ヤギ汁見た目が豚骨ラーメンに見えてその気ですすると…

自分は一口で十分でした

同席したヤギ肉好きのライダーに完食してもらい会場に戻る

パレードの列に並び

パトカーを先導に4キロのパレードラン

例年はスタート地のチンギスハーンホテルにゴールするのだがウランバートル市内の交通渋滞が酷く空港近くの会場へ変更されていた

バイクを駐車し周りのライダーたちとハグをする

日本もモンゴルも男性も女性も関係なく皆ラリーモンゴリアのフィニッシャー

長年の夢をかなえたライダーも

以前リタイヤしリベンジを果たせたライダーも

歓喜の笑顔が並んでいる

完走者全員で記念撮影し

ホテルまでの送迎バスに乗り込む

車内、興奮して仲間達と話をする参加者の声を聞きながら

7日間の出来事を思い出していた

 

緊張のなかスタートをしたチンギスハーンホテル

低い雲の草原を疾走したピスト

草原でのミスコース

土獏の中に突如現れた大きな街

街はずれで飲んだ冷えたコーラ

人工物の脇のエンデューロコースのような轍を悪態をつきながら走り続けた

荒廃した大地に力強く立つ大樹

強い風の中を走り抜けた尾根と地平線へ続くピスト

ビバークから見た稲光

夜通し走り続けビバークに朝帰りした仲間の頼もしかった姿

乾いた風

一本の轍が残るサンドピスト

地平線から地平線まで続く星空

負傷した仲間の帰国を見送ったゲル

ビバークで会おうと交わした握手

見渡す限りの花畑

手首が痛くなるほど開け続けたアクセル

速度を上げても変わらない景色

ルート上で出会ったモンゴル人家族「よい旅を」といって別れたお父さんの顔

開かないガソリンスタンドで潰した時間と食べたラムネの味

眠れなかった夜

眠れずに迎えた朝

抑えられなかった感情

それぞれのラリーの行方を聞いたテーブルと硬かった椅子

ビバークに現れたうさぎ

ツーリストキャンプで食べたフライドポテト

轍だらけの砂の道

穴だらけのピスト

無心で登った岩山

澄んだ冷たい風

寝転んだ岩の温かさ

 

 

すべてが昨日の出来事の様であり

数か月も前のように感じる

楽しかった、辛かったとは一言では言えないラリーモンゴリアだった

それでもモンゴルの大地は変わらず美しかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

関連記事一覧