第一回ラリー・ツールド・紀伊・クラシック2022

7月14日前日受付および車検のため朝5時に出発、自宅から650キロ15時スタート地である龍神村にたどり着く、すでに多くのエントラントがバイクをトランポからおろし車検の準備を整えていた

17時受付と装備品チェック、車検を終わらせ翌日のコマ図を受け取り車両置き場へ移動

マップホルダーを外し配られたゼッケンを張り付けようと屈むと

GSのマフラーフラップの上にかわいいアマガエル

幸運のアマガエルかはたまた…

お客様たちと宿泊した美山温泉はぬるっとして気持ちいがよい、夕食後は皆でコマ図の予習SSは!!(ダブルコーション)だらけ

全般に9キロ弱のSSが合計6本

当初は10本以上のSSを用意しますとの案内でしたが台風などによるがけ崩れや走行の許認可の関係で本数が減ったのだろうか、それでも初めて走る林道やSSで期待は膨らむ

Photo:SSER

翌朝、宿を出発30分ほどで会場に到着すると駐車場は参加者たちの車やバイクでいっぱい

外は台風並みの雨、駐車場であるグラウンドも深いところでは10センチ近くの水たまりができておりしばしHIACEのテールゲートの下で雨宿り、ブリーフィングの時間になっても雨は止まず用意されたテントの下でブリーフィングが始まる、龍神村村長の挨拶や山田代表によるラリーの注意事項などが説明されるやがて運営スタッフより衝撃の真実が!当初用意していたSSやルート上の林道が警察等の許可が下りずSSは3日間1つの林道で行うとのこと

え~聞いてないよ~

第一回大会、初めての開催地で運営側もさまざまなルートを使用して開催したいと苦心したようですが諸々の許可が得ることが(前例がないということでしょうか)できずに苦渋の決断だったようです

ないものは仕方ないと気持ちを切り替えるも降り続ける雨がさらに気持ちを下げる

やがてゼッケン順にスタート、自分はゼッケン3のためスタート後18キロ地点にあるSSに一番乗り

Photo:SSER

降り続く雨の中SS1スタート、最初のSSコーションだらけの林道で慎重に進める、スタート直後から掌大の尖った岩が転がるつづら折りの上り、GSやビッグバイクだとエンストしたら再スタートするのも困難なほどの路面だ

やがて最初のダブルコーションのコマに近づく「30メートル、20メートル、10メートル」カウントダウン、目の前には黄色いSSERのテープが張られ注意喚起されていた「ほっ」次のコーションでも同様の処置が施され安心する

それでも路面はごろごろと尖った石ばかりが転がるガレ林道、ビッグオフではスピードを出すことができない、今はスピードよりもまずはゴールすることが優先と集中して走行し何とかゴール、カッパの下は汗でびちょびちょそれでも最初のSSを走り切った達成感で心地よくリエゾンを走りだす

舗装路をつなぎ南紀白浜へ、以前BMW BIKESの取材で訪れた時の集合場所がここ南紀白浜の海岸だった

雲は多いが海沿いの景色の良い道が続く、市街地を抜け山へと向かう

CP前にグーグルで調べておいた和歌山ラーメンでおなかを満たし

本日2本目のSSへ

SS1の逆走、後半はややハイスピードの下りが3キロくらい続いていたのでこちらは前半ハイスピードの上りということだ、GSの出番です

スタート直後の水たまりを慎重にぬけたらアクセル全開!!のはずが転がる岩でアクセル開ければリヤが暴れ車体を傾ければハンドルとられまったくスピードに乗せることができないやっと先の見えるコーナーが現れ最初の左コーナーアクセル開けてテールスライドで進入したら尖った根石にタイヤを取られ(突然グリップ)ハイサイド状態!「こえーっ」そこからはSS1同様の安全走法に切り替える後半3キロほどの下りもやはり岩がごろごろと転がる道でアクセル戻せばハンドルとられ車体を倒すとフロント切れ込む下りながら常にアクセルはONで車体は垂直、まるでトライアル競技のよう「我慢の3キロ」を終えSS2ゴール

ビバークのある竜神温泉までのリエゾン

明日から2日間この林道走るのかしかもSSとして4本…

絶望的な気分になる、そして追い打ちをかけるようにゴールして気が付く「今日あのSSしか林道走ってないじゃん!」

今日のビバーク地竜神温泉旅館はとても素敵な宿でした日本3大美人の湯として知られているらしくやはりぬるっとした湯が特徴的

温泉に入り仲間との夕食、話題の中心は今日のルート、GSをはじめビッグバイクで参加している仲間は皆口々に「面白くない」

明日も林道はわずか4キロでSSはあのガレ林道

「明日はどんな林道走れるんだろう」というワクワクがないのだ

2日目、今日は一日快晴の予報

気持ちを切り替えて今日は一日楽しもう

SSは朝イチで立て続けに2本(同じ林道だけど)ということは復習もできるのだからもっと上手に走れるはずと自分に言い聞かせる

SS3、天気は最高

昨日は「安全第一走法」だったから今日はどうしたらタイムを上げられるか考えながら走ってみよう、まずはラインどり昨日のSS2本で林道にラインはできているはずだからそれをできる限りトレースしていく。しかし現実そのラインはコーナーの入口と出口に沢山のギャップ、進入でフロントがはじかれ出口ではリヤが暴れまったく速度を維持できない、アクセルワークブレーキ操作を丁寧に行うが自分でできる範囲の限界を知りそのままゴール、昨日同様に全く攻めきれずに終わる…

20キロのリエゾンをこなし再び同じ林道入口SS4、今度はラインを外してGSで極力少ない減速で走行できるラインを探して走行しようとスタート、やはり最初の水たまりを超えてラインの一本外側からアプローチするコーナー中盤でラインをクロスする、少ない減速でコーナー攻めることができた「オッ行けんじゃね!」と思った2コーナー先ではラインの外側が今度は軽量車両が跳ね上げた拳大の石が転がりフロントをすくわれるその先のコーナーもすべて同様で結局ラインをトレースする走法に切り替える我慢のSS

攻めることのできなかった本日2本のSSは終了…

気持ちの切り替えもできないままリエゾンへ

途中4キロほど林道を走る久しぶりのSSでない林道でテンションが上がる

コマ図では紀伊半島の最南端まで行くようで途中仲間と合流して

岬にあるラーメン屋さんへ、ここでもSSやルートの話で盛り上がる!?

※これは那智の滝ではない

那智の滝や景観素晴らしいワインディング(舗装)を走行

CP手前でGSが止まっているので声をかけるとパンクとのこと

実は初日のSS2でフロントタイヤを岩にヒットさせてタイヤが避けてしまい、ビバークに戻った時にチューブを入れたのだがそのチューブにも穴が開きパンクした様子、仲間から新品のチューブをもらい交換するもタイヤ裂け目も大きくこのまま走行するのは危険ということでこの日リタイヤとなった

今日のビバーク川湯温泉へ、川沿いに露天がありまたその川も掘ると温泉が湧き出る

温泉で温まった身体で冷たい川に入る(露天専用の布を巻きます)温冷交代浴でふわーっと気持ちよくなっていく、結局2回も入浴してしまった

そして3日目の朝、こんなに悲壮感のないラリー最終日は初めて

スタート前、初参加のお客様に声をかける「すごい楽しいです!これがラリーなんですね嵌っちゃいそう」と言われハッとする

この2日間同じ林道を(しかもGSでは罰ゲームのような!?)毎日走らされリエゾンは舗装路、観光地ばかり、こんなところを走るために9時間もかけてこのラリーに参加したんじゃない!とブツブツ文句ばかり言っていた自分。

「何と比べてそう思う?」

「じゃあ自分が出たいラリーは何?」

「この2日間は不満だけが募るラリーだったの?」

リエゾンでもビバークでもこの2日間多くの仲間が楽しそうにしていた、自分と同じ行程をこなし同じ林道、ルートを走ってきてだ。

初参加のラリーを体験するひと、仲間とのツーリングを楽しむひと、競技区間でライバル同士の数秒単位の痺れる争いするひと、観光地巡り名物巡りを満喫するひと、参加者それぞれにこの2日間を楽しんでいるのだ

最終日の朝にようやく気がつく

あ~もったいないこうなったら今日しかない最終日を楽しみつくそうという気持ちになる

自分の最優先事項はSSをもっと楽しみたい、昨日よりもタイムを出したい、そのためにはどうするかもっと試し考えてみよう

スタート前のCPで仲間たちと談笑、気持ちの切り替えができただけでも会話ひとつが楽しい思い出になる

さあ、SS5、6は昨日同様に同方向のSS2本立て、どうしたらタイムを上げられるかそれには今までよりももっとGSをスムースに走らせる必要がある、ライン以外では転がる石や岩が多すぎて減速も加速もスムースにできないのでコーナーはすべてライン通りその中で少ない減速と急激でない加速を繰り替えすこと、自分がGSでタイムを出すにはこの方法しかないとこの2日間で体感した、コーナーの進入時立ち上がり時に身体の使い方を意識する、フロントタイヤの情報を一番掴みやすくかつ対応できる場所に身体を持っていけるように心がける、アクセル、ブレーキは丁寧に

SS5の上りでフロントが何度か持っていかれタイムロスしたが身体の使い方が分かってきた、SS6ではコーナーの進入から大きく身体をコーナー内側にいれて(リーンイン)そこから車体を素早く起こしながら加速をするとリヤタイヤが横に暴れずに加速していくことを感じる、まるでターマックのサーキットを走っているよう(何度も走っておりコーナーの角度がわかっているのでできる)そのコーナーの決まった時の快楽はサーキットで膝を擦っている時のような感覚

「気持ちいい〜」

もっと早くやっておけばよかったわ

「イチ・二・イチ・二・イチ・二・イチ・二」とまるで運動会の行進のようなギアしか使えなかった2日間が減速を最低限に抑えることでようやく3速に入れることができた!

おかえり3速(笑)

このラリーにおいて唯一のSS(競技区間)9キロ弱のSS毎のタイム

SS1・14:10  SS2・13:47  SS3・13:34  SS4・13:00  SS5・13:00  SS6・12:26

SS1は様子見のタイムなので除外したとしてもSS6のタイムがSS2,3より1分以上縮んでいる!13:00というのがそれまでのベストタイムだがそれよりも30秒も短縮に成功しているのだ、乗り方をより丁寧にスムースに走らせることでこんなにも早く走らせることができるということを改めて知る、SS2~5までは「攻める」ということを意識したしこれまでのGSでのSSは同様だった。もちろんこんなにも同じ林道ばかりを続けて走行する機会は今までになかったこともあるが図らずも反復練習になっていたということでライディングスキルが向上したようです(苦笑)それを知り身に着けることができたただけでもこのラリーに出場してよかったというもの

ライディング奥が深いっす

いや~やめられない

とすべてのSSが終了しあとは120キロのリエゾン、途中で仲間とアイス食べたり、一緒に林道走行したり、い・つ・も・のラリー行程を楽しみグランドゴール

バイクを駐車場に入れてそのままヘルメットを脱ぐ

「楽しかった~」

思わず昨日までとは異なる言葉を発する

初開催となるのラリー・ツールド・紀伊・クラシック競技は終了した

未開拓の地での開催となるラリー、自然災害や役場をはじめ警察等への許認可などルートづくりおよび実行まで大変な労力だったとおもいますがそんな状況で実施してくれたSSERオーガニゼーションおよびスタッフに感謝したいとおもいます

そしてどんな時でも楽しむ気持ちを教えてくれた最高のエントラント、仲間の皆様ありがとうございました

総合19位  インターナショナル・クラス2位

おわり

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

11月にも同様のルートを使用したラリー・ツールド・紀伊・クラシックが開催される

GSおよびビッグ・アドベンチャーバイクで参加を検討している方向けにアドバイス。SSおよびルートは今回のものよりもダート率を上げるというアナウンスがSSERよりありましたのですべてではないと思いますが、通った林道の印象では普段自分たちがツーリングしている関東や東北林道とは異なる部分が多かったです、特徴のひとつは崩れた岩が林道のあちこちにありそれが更に崩れ路面を覆いつくしている、つまり尖がった石や岩がどの林道にもある

上記写真は3日間走行後のタイヤ、装着当初はこのまま10月のラリー東北に使いまわしを考えていたがとてもじゃないが使えない

フロントのサイドウォールには切り傷が!これはSSで前走者をパスするときに右側に尖った石を確認してとっさに左にハンドルを切ったが避けきれなかったもの、リヤは角は取れいたるところに線傷

タイヤ空気圧前後とも2キロ以上(フロントは2.3KGF)260キロ余り重量のあるGSで2キロ以下にするとタイヤがリム打ちをして裂けてしまうリスクがあるので必ず2キロ以上で走行するように(雨の成田MXコース等以外では)

それとSSでは今回のように同じ林道を使用する場合はGSやビッグオフですと荒れてくる路面に対応する能力が必要になります、一部GSでは「トライアルじゃん!」と思える部分もありました(汗)ですのでオフロード未経験で参加されると大変苦労するとおもいますのでこちら参加する際はGSでオフロードを数多く経験をしておくと完走率は高くなると思います、ちなみに今回のGS完走率は3/5

次は秋のラリー東北3ディズだ、今度こそ3速、4速で全開走行したいっす(願)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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