FA Coat Rally Mongolia2019 参戦記ETAP-4

■ ETAP-4 14 AUG. 2019 KHAR NUUR⇒ALTAY
■ SS-1:96.36km L:60.50km SS-2:216.38km L:7.60km TOTAL:380.84km

「ゴビとアルタイの夢」

アルタイという地名はこのエリアには少なくはないのだが、今回のアルタイの町はまだプリミティブな時代のアジアを思わせるような佇まいだ。 短いSS-1を終え清朝の総督府のあったオリアスタイの町をリエゾンで抜ける。 灌木地帯でSS-2スタート、オリアスタイに向かう対向車に注意して進む。 いくつもの山を越えて町をかすめてゴビを進む。人工湖の横を通り、オアシスのような緑が見えて来たらカップチェンジ。町の手前で橋を渡り、高速ピストを進めばSSゴール。 今日は、ホテルがビバークだ。

SSERルートインフォメーションより

いよいよハルヌールのビバークを離れる朝が来た、緑の大地と青い空、白い雲そしてその空の模様を写したハルヌールの湖、この先もずっとこの景色は変わらずここにあるのだろう

インフォメーションを確認して

4日目スタートの準備を整える、今日はアルタイという町まで400キロ弱の移動、本部でランチパックを受け取りパッキング、ハイドレーションに水を補給し、翌日のコマ図、携行品のチェック、ライディングウエアーに着替えパルクフェルメへ、バイクの横でマシンの目視点検をしながらストレッチを行う一連の動作が習慣になりラリー中心の身体になってきていることを感じる、ライディングにおいてもナビゲーションできる範囲の速度を厳守しながらもアベレージ速度少しずつだが上げることもできている、ナビゲーションにおいては一つ先のコマ図からときより二、三つ先のコマ図の角度と距離からどちらのピストに丘に向かうのか把握できるようになってきた、時折ライディングよりもナビゲーションに快感を覚えるほどだ

Photo SSER

前日までのリザルト順にスタートをしていく、自分の前はモンゴル人ドライバーのS×Sに♯5泉本選手、見慣れたハルヌールの丘を越えると遠くに前走者の砂煙が見える2~3キロほど先まで見渡せるが30秒や1分の時間というのはこれほどの距離を生むんだと視覚する、昨日と同様にハルヌール湖の右岸の砂丘地帯を抜けスピードの出しづらい根石の転がるキャンバーピストの山を超えていく今日のSS1は距離96キロターゲット1時間30分といったところか

後半や緩い起伏のある丘をハイスピードで駆け抜け遺跡が見える丘でSS1ゴール、その後は60キロのリエゾン、綺麗な舗装路を繋ぎ西の都市オリアスタイを抜ける

ウランバートルほどではないが車や人も多くやや緊張しながら街を抜けフラットなダートが続く道へ

気持ちの良いフラットダートの峠だが交通量が多く埃まみれのリエゾンが続き

SS2のスタート地(リエゾンの終点)にたどり着く

他の選手同様に低木の陰に隠れランチパックをいただく、毎朝SSERのスタッフが握ってくれるその日のおにぎりが楽しみ「昨日はおかかだったから今日はツナだ」一人ほくそ笑む、ラリーという競技一日のほとんどを占めるモーターサイクルライディングはマシンと大地とコマ図、そして自分自身と対話を続けている孤独な行程、スタッフの手により作られたおにぎりをほうばった時のほっとするような幸福感はこうした場に身を置くとしみじみと感じる、2017年参戦時にも書いたと思うが幸福レベルが下がったのではなく自分自身の幸福を感じる感度が上がったのだ

アルタイまでの216キロのSSの多くは高速ピスト、朝のブリーフィングでも注意あったが先ほど通過したオリアスタイに向かう車が多く遠くから砂煙が見えたらパジェロ、その次はランクル、プリウスなど自分が競技区間でタイムを競っているという事を忘れるほどに一般車とすれ違い、追い越しを繰り返す、やがて草原にでて薄いピストをCAP(方位)にならい走行するとピストがバイク一台分のシングルピストになりいくつか急な丘をこえていったコマ図の絵とギャップ、距離はあっているのだが方位が異なるようだ直ぐに引き返していくと右前方にS×Sと♯10篠原選手のマシンが見えた

どうやら次のコマ図の距離間隔が短くその方位を見逃していたことが原因だったようでN-SYSTEMラリーメーターの距離を補正し前走者をパスする貯水湖を抜けやや砂の多いピストを駆け抜け高速度道路のような超ハイスピードのライディング続ける一時間近く砂埃も車ともすれ違っていない、すると前方にSSゴールのフラッグが見えた

SS2無事にゴール、舗装路に出る手前に湯舟ほどの大きな穴があり後続のライダーがそこで前転をしたと聞いた競技区間以外でも気をつけなければいけないと肝に銘じる

今日の宿泊はホテル、駐車場の入り口にはフラッグが建てられパルクフェルメとして開放されていた、バイクを停めマシンチェックを行う、荷物を運ぶX-1トラックが未着で到着までは時間がかかるということでホテルのレストランでキンキンに冷えたハイネケンをいただく、めまいがするほどに冷えたそのビールは今の自分には過ぎたようで頭が痛くなってきた(苦笑)部屋に入りベッドに横になり少し眠る

ホテルの部屋からはアルタイの街が見渡せる、「町の外には土獏、まるで西部劇の舞台のようだ」とある参加者が言っていた、このラリーに出場しなければこの町に訪れることもまたこの景色を見ることもなかったのだろう

やがて多くのライダーがホテルに到着、モンゴル人ライダーの一人が高速ピストで大転倒をしたらしく数名の日本人ライダーが救護したそうだ、救護した選手も搬送用ヘリコプターが来るまでの間にハイドレーションの水が尽きたらしく軽い熱中症の症状を訴えていた。この日は予定通りに前後タイヤの交換、エアエレメント、各部チェックと翌日のコマ図の巻替えを行う、やがて同室の♯15中村選手、♯17濱ちゃんも到着、タイヤ交換を終え皆でホテルのレストランで夕食をとる、しつらえてあるテーブルクロスにナイフにフォーク少し落ち着かない気持ちで本日2本目の冷えたビールで乾杯、皆は喜んでいたがすでに当たり前になってしまった自分、そんなものかと思う

アルタイの街の遥か彼方に月明かりがきれいに浮かぶ、明日からはいよいよフルスケールの本格的なラリーモンゴリアが始まる、総距離605キロこれまでとは異なり300キロ弱のSSが2本ルートもハードでナビゲーションも難しいとのこと、入念にストレッチをして少し硬いベッドへ横になり直ぐに眠りについた

総合14位

MOTO 4位

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