Fa Coat Rally Mongolia2019参戦記Etap7

■ETAP-7 17 AUG. 2019  SAYHAN OVOO⇒SAYHAN OVOO
■ L:18.23km SS-1:271.35km L:25.47km SS-2:253.60km L:18.73km TOTAL:587.38km
「ラリーは、最終盤に」
ラリーもあと2日。厳しい日々ももう残すところもわずかとなれば寂寥感にさえ纏われる。 殊にこのサイハンオボーのビバーク、不思議な空間のようにも感じる。かつて共産主義者らの宗教弾圧は少なくない悲劇を生んだろう。100年にも満たないそこは古代の遺跡のようにも見えるから不思議だ。残すところわずかとなった闘いも丁寧に噛みしめるように走れば、ことさら意味深い。 SS-1は、最初に巨大なドライレイクを越え緩やかな丘を越え、ナビゲーションに少しばかり呻吟するかもしれない。それでも町を越えればハイウェイのようなピスト。緑の濃いエリアにゴール。舗装路で移動した後、給油してSS-2へ。草原をスタートし、砂が多いピストを進む。小川を渡り、いくつもの山を越え、南下。後半は高速ピスト。最後のビバークの夜に。

SSERルートインフォメーションより

参加者ひとりひとりに少なくない出来事があったEtap6

朝食をとる為に薄暗い食堂に入ると濱ちゃんがお皿に食事を載せていいた、聞くと昨夜は日付が変わった深夜にゴールしそのまま2~3時間の睡眠でここにいるとのこと顔はやつれているが目がギラギラしている、とにかくあと2日走ればゴール、最終日は220キロのSS1本のみなのでフルスケールのラリーは実質今日が最後「ここまで蓄積した経験を活かし飛ばせるところは飛ばして距離、時間を稼いで明るいうちにゴールに入ろう」と伝える、ほかの参加者たちも昨日の各々に起きた出来事をスタート前の緊張も混ざった表情で語っていた。

ブリーフィングが始まり中国チームのライダー全員がこのビバークにゴールしていないことを告げられる、大きなサポートカーと賑やかでタフなアドベンチャーバイク達がここにいない、選手は翌エタップのスタートまでに戻ることができなければそこでリタイヤとなる、ここで競技として中国チームのラリーモンゴリア2019が終わったことを知る

photo SSER

Etap7もサイハンオボーのビバークへ戻ってくるループコース、少し走りなれた砂のリエゾンを進みSSスタート地点を目指す

スタート地点の横には騎馬のモニュメントがあり参加者と記念写真を撮り合う

photo SSER

SS1スタート直後のドライレイクが大きな沼になっているということで迂回するようにと伝えられる、おおよその距離と方向だが一本のピストのため迷うことなくハイスピードなライディングに集中していく、その後はいくつもの緩い丘を越えていくルートでスピードはでるが小高い山々と分岐が多くナビゲーションに集中しているとアベレージが下がりライディングに集中しすぎるとミスコースをし易いルート、今朝スタート前に確認したコマ図でCP(チェックポイント)までに記載されているWP(ウエィポイント)までの距離がこれまでのルートとは異なりかなりの距離があった、ここでは主催者の用意したルートをしっかりとトレースできていなければCPを見逃し大きなタイムロスをすることになるだろう

緑の濃い大地で正面から盛大な砂煙がこちらに向かってくる、モンゴル人が乗るトロフィートラック、バイクとすれ違う、ミスコースと気づいて手前のコマ図まで戻るのだろうが5キロ以上距離はあるはずだその後CPを通過ハイスピードなピストを駆け抜ける。ゴール手前で1.2倍の速度差あるのではないか!?と思うほどのスピードで♯3のリュー選手にかわされその砂埃を眺めながらSS1ゴール

25キロのリエゾンいつものように路上の売店でコーラを買い、ベンチに腰掛けて先ほど走ってきたルートを思い出す、現在モト部門トップ選手あのスピードでライディングをし続けていることに驚く、自分のレベルでは理解しがたいが次のSSは自分なりにライディングスピードを上げてみようと思う

photo SSER

SS2のスタートではそのリュウ選手のすぐ後ろからスタートしたが20分もしない間に砂埃が見えなくなる

SS1同様に細かい分岐といくつもいくつも山を越えていくペースを上げることが難しい、今日はナビゲーション能力を試されるようなルート、1キロ以内100メートルや10メートル単位で異なるピストが現れ手前のコマ図を確実にフォローしていないとすぐにルートを見失うリスクがある、SSも約半分の山間にあるCP手前のコマ図には小屋と薄いピストを右方向へカップチェンジの指示、しかし道がないその先も確認してみるがやはり道は見当たらないので指示通りのカップ(方位)に進むと丘を登っていく一本のピストを発見するその丘を越えた先にありましたCP、そこにはラリー仲間でありR1200GS RALLYE乗りの佐藤直美さん(通称ナックさん)から「原さんすごいよ!2位だよ」と声を掛けられる

photo SSER

「まじかっ!」を走りながら何度も「2位」「2位」「2位」と頭の中でリフレイン、ひとり抜けば1位だよ、だけどトップグループとのスピード差は身に染みてわかっているので無理のない範囲でペースを維持していく、CP後のルートは前半と異なり分岐の少ない超ハイスピード、これでは差が出ないだろうということでナビゲーションとライディングの割合を2:8に変更(普段は逆です)目の前にあるルートを最速でライディングできるようにギャップ、地形、方位を感覚でとらえながら飛ばしていきます、気分はトビープライス(笑)ゴールまで残り30キロのところで前方に砂煙を確認する20キロ手前で♯101の松野/田代組のS×Sと確認、残り10キロでパスするとそこからは全開走行その先も大きなカップチェンジがないことはコマ図で確認済みだったので後ろは振り向かず方位だけを確認してアクセルを戻さずに最低限の減速で駆け抜けていきます「1位だぜ!」とうとう「1位だぜ~」何度も繰りかえす

ゴールまで残り3キロ300メートルほど左のピストで砂煙が立つのを確認それと同時位に前方に分岐を確認するその方位からピストは確実に異なる方向への「道」になることが理解できた、減速してコマ図を確認するもそのような分岐は見当たらないそしてコマ図に書かれているカップから20度以上右方向を走っていることに気が付く、ということはあの左の砂埃は…

分岐左のピストを選び前方の砂煙を追いかける残り500メートルで♯101の姿を捉えるがそのままSS2ゴール「2位か…でも過去最高位じゃないか」と自分を慰めてゴールする、CPのスタッフに「原さん2位ですよ!」と言われたくて「今日は飛ばしましたよ~何位ですか?」と質問すると「原さんで7番目です」と、えっ?確認してみるとSS2総合で7位MOTO部門で2位とのことでした、佐藤さんが言った2位はMOTO部門での2位ということだったんですね…少し落胆するのと同時にラリーモンゴリアにおいてあのスピードではナビゲーションをすることが困難ということが実践をもって確認することができた

今日のルートや出来事を反芻しながらサイハンオボーまでのリエゾンを走らせる、ミスはしたが競技として向き合うことのできた一日だった気がするラリーも7日目にしてようやくだ、残りのエタップもひとつ、やっとここまで来たという達成感ともう終わってしまうのかという寂しいきもちが入り交ざるリエゾンだった

ふと横を見るとFE501と自分の影が写っていた2017年のその時とは違う心情ではあるが逞しい影である

サイハンオボーのビバークにたどり着く、昨日とは異なり太陽はまだ高い位置にある、今日はハイペースで飛ばしたので前後タイヤの消耗が激しいEtap5を前に交換したタイヤの方がブロック残あるため夕食前の明るいうちに前後のホイール、エアクリーナー、エンジンオイルの交換を行う

このツーリストキャンプにはラリー以外の観光客(特にヨーロッパ)も多くその中に混ざり一緒に夕食をとっていると方々から声をかけられた、いずれもオートバイ好きの人たちらしく、この大地をモーターサイクルで走ることの素晴らしさを8割近く理解できない言葉で語られた(笑)

食事が終わりFE501の整備、夕食前に主作業は終わらせていたので特にすることはないのだが、ビバークでバイクを触っていることが楽しい、今日は明るい時間帯に多くの仲間たちがゴールし各々ラリーモンゴリア最後のビバークを過ごしていた

Etap7のみのディリザルトで総合7位 MOTO部門2位を獲得!素直にうれしいがこのペースを8日間続けるスキルが自分にはない、明日はいよいよラリーモンゴリア2019最終日だ

総合12位 MOTO部門4

 

 

 

 

 

 

 

 

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