ラリーモンゴリア2017Etap8ハラホリン→ウランバートル

最終日はハラホリンからウランバートルまでの433キロ

雲一つないモンゴリアンブルーの空

強い太陽の光がハラホリンのビバークを照らす

ブリーフィングを終えこの日まで残ったライダードライバーたちとオフィシャルによる記念撮影、後にリエゾンをスタートする

SSまで51キロのリエゾンCAP90の方向からの光を浴びながら舗装路に移る自分の影と平行して走ってゆく、黒く濃いそのシルエットはとても逞しく映った、写真を撮ろうと思ったが止める、心に残しておきたいそしてまたこのシルエットに会いに来ようと思ったからだ

最後のSSスタート前に皆で記念撮影「この一本で140キロSSで本当に終わってしまうんだ」初日のSSスタート前とは異なり楽しみの中に緊張を感じた

やがてスタート時間になり緑が深い草原のルートをFE501で駆け出していく、もうタケシリミッターも写真撮影もない、ただこのバイクと気持ち良い速度で走るだけ、この瞬間は二度と訪れない、目で耳で匂いでモンゴルの風を体で感じながら

「さいっこう~」

何度も叫びながら走っていると前方から一台のマシンが逆走してきた尾島選手だ!すれ違いざまに声をかけるとミスコースをしたらしい、っとここでようやく自分もミスコースしていることに気が付く(苦笑)そこからは尾島選手と30分近くランデブー走行をする、草原でじゃれあう犬の様にこの30分が自分へのご褒美ような甘美なライディングだった

丘の上にあるCPを過ぎてからは急こう配の下り

その先の景色がまるで九州にある「ラピュタの道」のようだ(行ったことないけど)ライディング至福の時間が続く、やがて川の前にたどり着き数台のバイクが停まっているこれまでの川より川幅は広く「深い」事が分かる、上下流で渡れそうな場所を探していると日野レンジャー登場!躊躇なく身の丈を超す水しぶきを上げて川を横切っていったそのあとを追うように数台のバイクが渡っていく、乗車状態で膝近くまでの水深にビビりながら渡り切る

しばらくするとまた先ほどより川幅はないがどう見ても深い川が目の前に広がる、レンジャーは前方に行ってしまい、水深を図る術はない、ここでも数台のバイクがゴーグル越しに「どうぞ、どうぞ」とまるでダチョウ倶楽部往年のギャグのように譲り合う(笑)するとHPNの篠原選手が上島竜平よろしく一番手に入水、フラットツインシリンダーの上部まで浸水しているんじゃないか?と思うほどの深さがあるが渡り切る、それを見てまた数台が同じ川底をトレースしていく

その後フラットな高速ピストを走る

ハイスピードでライディングに集中するN-SYTEMのマップホルダーに装着されているコマ図を捲ると最下部に赤くマーキングされたGOALの文字が見えた、そこからの記憶はほとんどない本能のままにマシンを走らせた

photo sser

SSゴール歓喜の瞬間だ、頭が真っ白になっていた、何度も何度も雄たけびを上げながらこの時を噛み締めた

photo sser

Etap8のSSゴールで

その後214キロのリエゾンを走り、前回は最初から参加できなかったパレードランでウランバートルのスタート地点であったチンギスハーンホテルへ凱旋

エントランスでは上位3名によるシャンパンファイト、完走者一人一人にメダルが渡された

 

 

8日間で3000キロのSSと1000キロのリエゾンを走り切ったFE501のトリップメーターは4004.2キロを指していた、ここまで連れてきてくれたFE501は本当に頼りになる相棒だった、隠れ岩にフロントをはじかれて飛ばされた時もWPのサスペンションが車体がカバーして転倒を免れた510ccの排気量と軽い車体で特にリエゾンや高速ピストではツーリングのようにリラックスしてライディングに集中することができた、このバイクでなければ自分のラリーモンゴリアはここまで充実したものにならなかっただろうと思う

3回目のラリーモンゴリア(実質2回)は終了した、参戦する前に思った「初めて参戦した時のような新鮮な体験はできないのではないか?」という疑問は1日目のチンギスハーンホテルを後にし大草原を前にしたときにはすっかりと失われ、時に眩暈がするほどの景色の中を大好きなモーターサイクルで走る喜びに満たされた、初日にゴールした時の期待よりも大きかった不安、灼熱だったゴビ砂漠、翌日スタートすることが困難に思えるほど激痛だった腰の痛み、ライディング中にも関わらず目頭が熱くなったあの大地、たった8日間とは思えない沢山の出来事が思い出される、すでにあの熱い夏から5か月が過ぎようとしているがいまだに心に熱が籠ったままだ、今年もラリーモンゴリアは開催される参加される人たちは次のラリーへの準備でその熱を燃やしていることだろう、自分は今年参加することはないが、またあの朝に見た逞しい影に会いに行きたいと思う

終わり

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