Fa Coat Rally Mongolia2019参戦記Etap6

■ ETAP-6 16 AUG. 2019 ALTAY⇒SAYHAN OVOO
■ L:7.31km SS-1:265.00km L:155.42km SS-2:277.88km L:18.88km TOTAL:724.49km

「ラマたちの夢の跡へ」ビバークを出て舗装路で少し進む。燃料に不安があれば、満タンに。SS-1はハイスピードで気分がいい。CPでカップチェンジして進む。後半はアップダウンが多くなる。最後に太いメインピストに出ればSS FINISH。橋を渡り給油。 その後、少し長い舗装をリエゾンで進み給油を済ませてSS-2へ。最初にメインピストをクロスする。そして巨大な炭鉱を越える。その後は走りやすいピストを進む。町をかわして、また走りやすいピストを進む。次の町は隅をゆっくりと、低木のエリアを進めば、川の手前でゴール。

SSERルートインフォメーションより

アルタイの硬いベッドから起き上がる窓の外はまだ暗いが目は冴えている携帯のアルバムに入れてある昨日と今日のルートインフォメーションを確認する、朝ご飯とX-1トラックへダッフルバッグの預けるためライディングウエアーに着替えパッキングしてロビーに降りるとフラッグ先の地平線から朝日が昇っていた、これから長くて短い一日が始まる。太陽に向けて手を合わせる

Photo SSER

今日はアルタイからサイハンオボーまで725キロ、SS1終了からのリエゾンが155キロ区間タイムが3時間と昨日よりも距離も時間も長くなっている上位でゴールしたとしても日没前にゴールするのはかなり厳しいだろう朝9時にSSスタートしターゲットタイム3時間のリエゾンを走り700キロを超える距離を日没までに走り切るには競技区間で平均速度100キロを越えなければならない、今日のSSではできる限り高い速度を保ちながらナビゲーションライディングに集中する必要があるだろう、これまではルートを見失ったと気づいたとき先のコマ図の距離、方位が分からない場合にはすぐに引き返すことでオンコースに戻ることをしていたが今日は常に1っ2っ先のコマ図をフォローしながらナビゲーションすることにする

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既に見慣れたアルタイの街を舗装路で7キロ先のSSスタートまで移動、スタート地はETAP4のゴール脇からでやはり大きな窪みを越えなければならずジムニーやアドベンチャーバイクは迂回していた、スタート直後はフラットで硬くしまった砂利のダート、分かりにくい分岐も少なくとにかく距離を稼ぐ

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CP直後右に90度カップチェンジ複合ピストをひたすらまっすぐに進みいくつかの山間を抜け広い工事現場のような砂利道でゴール、しばらく走るとX-1カミオントラックが前方に!!この日は東に大きく移動をする一日だが前半のSS終了時点ですでに荷物がここにあるなんてっ今日のビバークでも早めに着替えやパーツが届くのかと少し嬉しい気持ちになる

大きな舗装路に出るこの先は155キロターゲット3時間少しゆっくりとお昼ご飯を食べようと舗装路わきの小高い丘に登りランチパックをいただく、風は強いがSSで高くなった体温と気持ちを落ち着かせてくれるバイク横の地べたに腰かけておにぎり、魚肉ソーセージを頬張るなんだかFE501とランチをしているみたいだ、「いまモンゴルにいるんだな~」ということを実感する

再び舗装路でSS2のスタートを目指し綺麗な太い道を進む、バヤンホンゴルという大きな町手前の長い下り坂で遅い三菱の車をパスすると前方に警官が立っていた「やばいっ」総合ブリーフィングでスピードの取り締まりをやっている個所があるスピード違反が過ぎた場合には車両を取り上げられる可能性もあるので注意するようにと言っていたがまさかその対象になるとは、とにかくここはまっすぐに前を向き胸を張り堂々とパトカーに近づいていく、警官の方を見ないように顔はも正面を見つめ続け50メートル、30メートル、10メートル心臓の高鳴りと絶望感が互いに襲ってくる、いよいよこの抑えた制限速度でも止まれないところまで近づくと自分が取り締まり対象でないことを知る、先にシルバーの乗用車に乗ってた女性ドライバーが取り締まりにあっているようだ、助かった…スタートまで30分以上を残しSS2のスタート地点に到着、他の参加者もパトカーを見た瞬間に「終わった」と思ったらしい(苦笑)

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SS2のスタート、リエゾンのチェックをするためにCPに行くと♯3リュウ選手(韓国)がスタートしていったMOTO総合1位のライダーだが前半265キロの競技区間で30分近くも早いのだ、自分の前には10台程がスタート待ちをしているこの時点ですでに太陽は中心から西に傾いている

SS2このピストも十分にスピードを乗せながらナビゲーションをできるハイスピードなルート、緑の大地が気持ち良い地平線にどこまでも伸びる緑の絨毯と茶色い帯、白い雲、気持ちも身体もモンゴルでのラリーすべてを楽しんでいる

数年前オートバイ雑誌の取材でご一緒した大好きなカメラマンになぜそんなに凄い写真が撮れるのですか?と質問をしたことがあるのだがその方の答えは「真実を写しているだけ」との答えだった、耐久レースのカメラマンでバイク業界では巨匠と呼ばれている方だがその方が撮った写真にはそこにある熱や被写体となる人の心の動きまで映し出しているように感じることがある、これは自分自身だけのことになるが撮影したその時に感じた事、気持ちをその一枚によって思い出すことがある、この景色はまさにその一枚だ

題名「さいっこう~」(笑)

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綺麗な緑の緩い丘を登りながらコマ図で距離、方位と目標物を確認する、次のコマ図に描かれている絵と距離がまったく合わない、確認しながらその一つ先のコマまで行くが方位の先にはピストはなく5キロ以上先のWP(ウエィポイント)は異なる方向を示していたそこで確実に2つ手前のコマまで戻り距離を修正するがやはりそのコマ図の絵の場所は異なっているコマ図に書かれているCAP(方位)の方向にオフピストして丘をくだるとコマ図に書かれているアニマルハウス(家畜小屋)とその先に小さな小川があった距離もコマ図の絵もぴったりと合っていたので安心してその先に進んでいくとラクダのこぶのような大地が永遠と続くシングルピスト(GSじゃ走行することさえ困難)スピードも出せず振動も多くストレスがたまる我慢の走行、やがてメインピストを発見するどうやらこの道はオンコースではなかったようだ(そりゃそうだ)

やがていくつもの丘を越えると広い大地にでたひたすらまっすぐにつづくピスト前方に動物の群れ、それは野生なのか放牧なのかはわからないがラクダだった、でかい、こわいそして臭い(笑)2年前にラクダの写真を撮れなかったことを思い出しFE501と一緒に記念撮影、大地に写る影もだいぶ伸びてきたがSSゴールまでは残り10キロ程

Photo SSER

東に向かうルートは伸びていく自分の影を追いかけていく、やがて左前方にSSゴールフラッグが見えた見覚えのあるその場所は2017年のルートのゴール地と同様だった

Photo SSER

リエゾン直後の川が増水で渡れないとのことで少し上流にあるハンドル幅ギリギリのか細い橋を渡りサイハンオボーのビバークを目指す

こちらも見覚えのある山の間を抜ける砂砂利のピスト、リエゾンを半分ほど過ぎたあたりで2台のバイクがこちらに向かってきた

♯3リュウ選手と♯37のモンゴル人選手だゴールチェックで♯37のチェックカードがないことに気づきリュウ選手が一緒に探しに戻っていたようだ、ちょうど自分が通ったその場所に白いカードが落ちているのを見つけ皆でハイタッチ「ふぉ~」

日暮れ前にゴールにたどり着く、すでに到着しているメカニックたちが拍手で迎えてくれた、長かったけど短いEap6ようやく終わった、荷物はまだ届いていないのでゲルの場所を確認してシャワーを浴びインナーウエアーままバイク整備を始めるとEtap3熱中症でリタイヤした♯16室井さんがそこにいた、同じくリタイヤした選手とオフィシャルカーでアルタイのビバークをパスしてここに先入りしたそうだ、スタッフ同様に設営の手伝いをしてこの先のラリーをフォローしていくとのこと、リタイヤし数日経た彼の心のありようを聞いたときに涙がにじんだ、ここでラリーという競技をしていることは決して当たり前ではないという事を再確認する、2014年にリタイヤした時に経験したラリー競技の中にいる選手と何らかの理由で競技から外に出てしまったひと、同じ行程で同じ時間を共有してもそれは全く異なるものなのだ、ラリーモンゴリアに出るために投じた労力は全て選手として8日間を走り切るためのものという事は外に出た時にわかる、出た時にしかわからないのかもしれない、様々な葛藤の中で彼が出した答えに共感した涙なのだと思う

やがてサイハンオボー西の彼方に太陽が沈む

日が完全に暮れてメカニックが用意したライトがビバークを照らし出したころX1トラックが到着、着替えを済ませエアクリーナやエンジンオイル交換をする、未だ多くの選手はこのビバークに戻ってきていない、サイハンオボーのビバークは長い夜を迎えることになる

総合14位

MOTO4位

 

 

 

 

 

 

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